611.夢のあと

夢のような時間だった。
いつも見上げてた先生の部屋の天井ではなかったからかも。

チェックアウトして、先生の車に乗り込んで。
小雨が落ち着いて、少し晴れ間が見えていた。
そろそろ、家に帰らないといけない。

こんなに愛し合ったのが、幻だったような気がしてしまう。


「結局ケーキ溶けかけてんちゃうん」

先生があーあ、と言いながら箱を出した。

「ほんまやー。ここで食べる?」

「そうやな」

意見が一致して、私たちは車の中でケーキを食べることにした。
フォークがなくて、保冷剤は溶けていてふにゃふにゃになってる。
時間ぎりぎりまで、お互いを求め合うのに必死でケーキどころではなかったから。

箱を開けて、先生が豪快にケーキを手づかみで食べるのを横目に、私も手でがっつりいった。

「うわ!おいしいー」

「うまいな。当たりやな。甘すぎず」

「なー!また買いに来たい!」

「またな。来年にでも。すぐ来れるような場所にはないしな」

ここの宿に来ようと思わないと、立ち寄れそうにないお店。
来年も、先生と一緒にいられるかな。

じっと先生を見つめると、「何や」と睨まれる。

「また来たい…楽しかった」

私がそう言うと、先生は「また来るよ」と目を細める。
そんな優しい顔されたら、ちょっとキュンとしてしまうから困る。

「今度は二人で泊まりたいなぁ…」

「泊まりたかったらはよ大学卒業して。先は長いで」

「あと4年もあるし!せっかく高校卒業しても、まだまだゴールが先延ばしされてる気がする」

そんなことを言いながらケーキを完食。
そろそろ帰るのかと思ってシートベルトをつけた時、先生がダッシュボードから何かを取りだした。




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