599.イヤな予感

『せめて、誰とどこにおるかはちゃんと連絡しなさい!』

奈々ちゃんの家を出た後、夜風に吹かれながら母と電話中。
母の声が漏れてるのか、隣にいた谷口くんも気まずそうだった。

『もー、てっきりあんた先生のとこおるんやと思って、夜中やのに先生に電話してしまったやんかー』

「うん…」

『余計な心配させて、悪いことしたわぁ。みっちゃんからも謝っといてや。しかも迎えにまで来てもらって……あんたほんまにぼーっとしてたらあかんで!』

「うん…ゴメン…」

『先生も行き来するの大変やし、今夜はもう帰って来んでいいから、明日の明るい時に帰ってきたらいいから。くれぐれも宜しくお伝えしといてな。でも今日だけやで!』

「うん…わかってる…ほんまにゴメン…」

通話が終わって、隣にいた谷口くんと目が合う。
谷口くんは、女の子だけで外にいるのも危険やろうということで、私の迎えが来るまで待っててくれると言った。

「迎えに来るのって誰なん?」

「あー……えっと……つきあってる人が……」

彼氏って言うのなんか照れる。

「え、彼氏おったんや。川田さん全然自分のこと話さんもんな」

「誰も私に興味なんてないような気がして、言うタイミングなかったかなぁ…」

「はは。その気持ちはわからんでもないけど、卑屈すぎん?」

谷口くんは他の子たちとはちょっとノリが違って、私にとっては話しやすかった。
一番目線が合う感じがして、普通に話せた。

「いいなぁ。俺も彼女ほしー」

「奈々ちゃんはどうなん?」

すると、谷口くんは口元を隠す様にして、遠くを見て答えた。

「あの子、俺以外にも同じこと言うてそうで……」

「そうかなぁ?」

私も、正直そんな感じかと思ってたけど、そんなことないような気がする。
たぶんきっと、谷口くんのこと、ちゃんと……。

「まぶし!」

車のライトに照らされて、目がくらむ。
先生が来た。

谷口くんは、かばんの位置を直しながら姿勢を正す。

「彼氏来た?じゃあ俺行くわ」

「え、あ、ありがとう、いろいろ、ほんまに…」

「じゃーなー」

先生が出てくる前に、あっさりと去っていく谷口くん。
線細めの背中にお礼を言い、先生の車に走って行った。

「ごめん、迎えに来てもらって…」

謝りながらドアを開けて、先生の顔を見たら。

車乗らずにドア閉めようかと思うほど怖い顔をしていた。




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