598.そして怒らせる

うーん。
ごろりと寝がえりをうって、枕の隣に置かれていた携帯へと手が伸びた。

何とか吐かないで済んだけど、画面を見て固まる。
日付は軽く変わってて、先生と母のメール&着信が代わる代わる…。

先生のメールを開くと、
『お母さんから連絡あったけど、今どこやねん』とあった。

やってしまったー。

酔いは冷めて、すぐに母と先生にメールした。
終電なくなったから友達の家にいますと送ると、先生からソッコー電話があった。

『……どこ?』

久々の鬼モード。
声だけで怖いのがわかる。

「奈々ちゃんち…」

『だから、場所はどこ?』

「えーと、○○市の○○駅の……」

『はーあ……。とりあえず迎えに行くわ。先にお母さんに連絡しとけよ。お前、親心配させんなよ』

先生のためいきの後のトーンの低さに怯える。
これはマジおこや…。

「すいません…」

『俺よりお母さんに謝って』

「そうします…」

怖すぎる。
ぷつりと通話が切れ、母にメールをしていると2DKの間仕切り扉が少し開いた。

「川田さん、起きてるん?」

「あ、谷口くん……さっきはほんまごめんな、奈々ちゃんは?」

「風呂やって。帰んの?」

軽く身支度している私を見て、谷口くんが言う。

「あーうん、今からお迎えが……」

「まじか。じゃあ俺も帰ろかな」

「えっ」

「『えっ』て。彼女じゃない子の家に泊まるほうが『えっ』じゃない?」

あー、そうか…。それもそうかな。
でも、奈々ちゃんって谷口くんロックオンしてる気がするねんけど。
私も谷口くんも帰ったら、奈々ちゃん的にどうなんやろ…。
と、人の恋路を心配する。

そこに奈々ちゃんがお風呂から出てきて、シャンプーの香りがふわふわ漂う。

「みなみちゃん、帰るの?終電ないよ?」

「うん、お世話になりました。もうすぐ迎えが来るから…」

寂しいー、と私の腕を持つ奈々ちゃんの横で、谷口くんが自分のかばんを持った。

「俺も帰るわ。ここから歩いたら30分ぐらいやし」

「えーっ!谷口はいいじゃん!朝まで飲もうよー!」

奈々ちゃんの主張に、谷口くんがぼそっと答えた。

「彼女でもないのに泊まられへん」

その言い方は、なんとなく拒絶してるみたいな雰囲気で。
そっかあ、と奈々ちゃんは笑顔やったけど、傷ついてるのがなんとなくわかった。




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