590.怪しまれる18歳

マンションの管理人さんが箒を持って掃除をしていた。
目が合い、ぺこりと頭を下げてエレベーターまで歩く。
すると、管理人さんも館内までごみを捨てに入ってきた。

その方は、人の良さそうな感じではあるけど…なんとなく、ちょっと緊張感が走る。

今までは私一人でこのマンションに入ったことはないし、オートロックのない時代のマンション。
管理人さんの視線が突き刺さる。

もう一回お辞儀をして、エレベーターのボタンを押そうとしたら、ついに声を掛けられた。

「どちらに御用?」

びくっと体が震えながら、ボタンを押して振り向いた。
管理人さんは5、60代で、箒を立てて訝しげに私を見ている。

「あの、○号室の……」

「葉山さんとこ?」

「はい」

エレベーターが来た。
すいません、と謝ってそれに乗り込む。
先生の階のボタンを押し、管理人さんにもう一礼して閉ボタンを押した。


私は居住者じゃないんだし、疑うような視線を向けられるのは、このマンションのセキュリティを考えても仕方ないかもしれない。
でも、それ以外にも何か疑われているようで少し堪えた。

私が先生とお似合いな年齢や雰囲気だったら、あんな目はされなかったかもしれない。

私が出入りすることで、先生もあんな目で見られるのかもしれない。
もしかしたら、私よりも先生の方が。



先生の家のドアの前から見下ろせる、のどかな風景が切なく目に映る。
さっきまであんなに無敵な感じがしてたのに、すぐに自信なんて崩れる…。




鍵を開けて部屋に入る。
いつも来る時よりもちょっと雑然としている。

私が来る時は、ちょっと片づけてたんかなぁ。
そんな先生の姿を思うと、ちょっと愛おしい。

買ってきた飲み物を冷蔵庫に入れようと扉を開けた。
手前の方に、先生は飲まないはずのりんごジュースの1Lパックが置いてあった。
封は開いてない。

私の…かな。


携帯を見たら先生からメールが来ていた。

『はよ帰るから適当に過ごしといて。ゲームもやっていいで。食べ物とか食べていいよ。期限切れてるか確認してな』

お母さんみたいな先生のメールにふふっと微笑んでしまう。
知らない誰かにどんな風に思われても、先生に恋する気持ちはなくならない。




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