587.卒業しても妬くものは妬く

『楽しそうやなぁ。相方も夜中やのに元気やな』

「……楽しいよ」

鮎ちゃんと皐月ちゃんは気を利かせてくれたのか、私に携帯を渡した後は、全く構ってくることなくエスプレッソマシンで遊んでいる。

コーヒーの香り漂いながら、私は窓際のソファに座って、ちょっとした夜景を眺めながら先生と話していた。

破天荒な行いのあとのこういう配慮(という名の完全放置)って、すごく鮎ちゃんらしいけど。


「タカノリ……いや、先生も、今日楽しかったんやんなあ」

『何が?』

「もとはと言えば、先生が電話掛けてきたから掛け直してんで。聞こえてきたもん。女の人の声」

『あ?』

「あ?じゃなくて」

アカン。イライラしてきた。
先生は至って普通に答える。


『飲んでたよ。バスケ部のOGたちと。言わんかったっけ』

…聞いたか?
私は、ナカムーと飲むって話ぐらいしか聞いてない。

「聞いてないよ…」

『何も変なことはないで。疑われるようなことなんか』

「……でもさあ」

楽しい卒業旅行中だというのに、アカン方向に転がって行く。

でもさあ。
そのOGたちの中に、懐かしの結城さんみたいな子はおらんの?
昔、先生のこと好きやった、とか。

先生は、私が同窓会とか行った時、すぐ迎えに来たやん。
私が男の子といるの、嫌がってたやん。

あの時の先生の嫌な気持ちと、今の私の嫌な気持ち、何が違うの?


『おーい。相方たち何してんの。せっかくの卒業旅行なんやろ?電話切ったほうがいいんちゃうん』

「……戻るよ」

『そんな不機嫌な声で終わるの嫌やろ。機嫌直して』

「………」


優しく諭される。
ここで切り替えて、「ちょっと不安になっただけー」と可愛く言えたらいいなと思うよ。

でも、頷けない。


『おい。みっちゃーん』


私に、覚悟が足らんかったのかな。
私が元生徒じゃなければ、こんなに気にならなかったのかもしれない。

私との恋愛が成立するなら、同じく元生徒のバスケ部OGさんたちとも、成立するんじゃないかとどこかで思ってしまう。


「切る……。おやすみ」

『……ああ』


ほんまに、こんなせっかくの日に。
せっかく、楽しい日になる予定やったのに。

女の人の笑い声が聞こえただけで、こんなに嫉妬に苛まれるなんて、つくづく心が狭い自分が嫌になる。




コメントありがとうございます(^O^)
花粉の季節ですね。外に洗濯ものが干せません…
いい天気なのに…






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