584.三種三様

「いやぁ、いいわぁ…せっかくの女子会やのに…」

及び腰の皐月ちゃんに、どこかほっとしながら援護する。

「そうやで鮎ちゃん、いつもいつも誰かを呼び付け過ぎやで」

先生のことも簡単に呼ぼうとするからな。
それでも、鮎ちゃんは強硬姿勢を崩さない。

「こういうのは勢いが必要やん。やり直したいならすぐ本人に言えばいいのに」

「いやいや、だから鮎ちゃん玉砕するんちゃうん。勢い強すぎて」

「…」

女帝の地雷を踏んだようで、鮎ちゃんの大きな瞳がギラリと光る。

「…どう言う意味?」

「いやいや、鮎ちゃんよく考えてみて。恋愛ってそれぞれのアレがあるから」

「アレって何よ」

皐月ちゃんがおどおどしながらも女帝に思いを述べる。

「あの、鮎ちゃん。私、三人でおる時間も大事にしたくて…。リクくんのことは、いろいろありがとう。鮎ちゃんがおらんかったら、連絡取ることも、もうなかったかも…」

鮎ちゃんは、囁きに近い皐月ちゃんの言葉に、じっと耳を傾ける。

「そうやろ!じゃあ電話しよ!ここに呼ばんでいいから、ちょっと電話しよ」

「ええ~?」

「鮎ちゃん全然わかってへんやん!おもろがってるだけやん」

「だっておもろいもん!掛けとき掛けとき!私にもこんだけ心配掛けたんやから」

めちゃくちゃな鮎ちゃんに押し切られ、携帯を握らされてる皐月ちゃん。
若さゆえのノリで、結局皐月ちゃんはその場でリクに電話させられていた。

「えっ、えっ、どうしたん?」

リクの大きな声が受話器から聞こえている。

皐月ちゃんは、プチ卒業旅行に来ていることとか、鮎ちゃんが電話を強要したことなどをソフトに伝えている。
その顔は、嬉しそうで、いい顔だった。

「皐月幸せそう」

「ほんまやなぁ」

電話越しのリクも、嬉しそうで、はしゃいでる。
鮎ちゃんは、やっと満足したように微笑んだ。

「さ。席外すか。みなみ、買い出し行こう」

「えっ。皐月ちゃん放置すんの?」

「飲みもんもうないし。お菓子足らんし。すぐ寝る気ないし、まだ食べたい」

「まあ……そやな。そうしようか…」

そうして私たちは、皐月ちゃんに「ごゆっくり」と告げて、閉店前のデパートに買い出しに向かった。
皐月ちゃんへのお祝いと称して、洋菓子売場にてプチフールを購入して。

「あの子こんなん食べ慣れてるやろうけどな」

「まあ、うちらも食べる気満々で選んでるしな」

「合格に復縁に、私は失恋記念のプチフールかな」

「(無言)」

鮎ちゃんの自虐に乗り切れず、黙ったままホテルに帰還。
今度は私の携帯が鳴った。




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