577.先生と見た海

先生の家に行くには、時間がないし。
たぶん先生、今うちのお父さんの顔とか脳内よぎってるし。


車が進んでいくこの方向は…海に繋がる道。
平日だから、立ち並ぶ工場は普通に稼働しているし、時間もそんなに遅くないから、夜来るのと全然違う健全な雰囲気。

それでも先生は黙って車を走らせていた。

すると、海が見えてきた。
そんなにきれいな海じゃないし、砂浜もない。
ずっと、コンクリートの堤防が続く。


「降りようか。ちょっと歩こう。素敵な海辺じゃないけど」

「わーっ、デート?」

「散歩。ラブホなんか行けへんで」

「散歩でもいい!」

うわぁ。それも楽しそう。



車を降りて、防波堤沿いを歩いていく。
先生はスーツ。私は、ちょっとおめかし気味のワンピで、海デートの格好ではないけど、太陽の下のスーツ姿もかっこいい。
どんどん歩いていくと、たまに階段があって、そこに上れば海が見える。

二人で上って、並んで座った。
太陽が傾いて、夕陽っぽいオレンジの日射しを感じながら、けしてエメラルドグリーンではない海を眺めていた。

「……っくしょい!!!」

先生のくしゃみはオッサンそのもの。
向こう岸の方々まで聞こえてそうな大音量で、ロマンチックな空気をぶち壊し、思わず周りを見回す。

「そのボリュームどうにかなられへんの…?くしゃみはしてもいいけど、大きさが」

「あ~~。飛んでる飛んでる、スギが。鼻センサーフル稼働してる」

「ああ……そういえばそんな季節やな」

「マスク持ってくればよかったなー。朝バタバタして忘れたわ。薬局かコンビニ行こか」

と言う先生の横顔に、夕陽が当たってて、とてもまぶしそうにしてる。


花粉症は心配やけど、かわいいな。
先生、今日はありがとう。


ちゅっ、と限りなく唇に近いほっぺにキスをした。

ひげがザリッと当たった上に、先生が怪訝そうに顔を離して「みなみが襲ってくる」と言う。

彼女からのキスをそんな言い方するなんて罰あたりめ。


「じゃあもう、私からチューせーへん」

すねるふりをしたら、先生が肩を抱き寄せてきて、今度はしっかりと唇でキスをした。




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