575.挨拶タイム

緊張感MAXの中、私も客間へ入ろうと思ったら、母が「先生、お父さんと二人で話しはる~?」と言い、一同動きが止まった。

「……何でやねん。みんなおったらええやろ」と父。

先生と二人きりにされるのは嫌だったようで。


「僕は、どちらでも…」

と答える先生も、顔がいつもと違ってひきつっていて、それを見てますます緊張してきた。
1年前の挨拶では、母と先生の一騎打ち。
逆に、あの時挨拶に来てくれていたおかげで、今、母という味方がいる。

今日が両親初挨拶やったとしたら、もっと恐ろしい空気になってた気がする。


そうして、始まった挨拶タイム。
口火を切ったのは父。

「……葉山さんね。こんな、平凡な娘でも、うちにとったら大事な娘なんで、結婚前の同棲はやめて下さいね。順番が違ったりするのもうちは認めませんからね」

父からの先制攻撃を受けて、つい、隣にいる先生をチラ見する。
父も先生も同じ考えだ。甘いのは私だけだったみたい…。


「お父様のおっしゃることはごもっともだと思います。恥ずかしくない付き合いをしていきたいと思っていますので……」

「そんなんはええわ。それより、君の親御さんは知ってるんか?あんたが18歳とつきあってることは」

う…お父さん、いちいち嫌味っぽいな。
反論したいけど、先生に止められてるから黙っていた。

本音を言うと、見ていられない。
先生ばっかり悪者になるのはおかしいのに…。


「僕の父は亡くなりました。母にはまだ何も伝えていないので、知りません」

「ほら。自分の親にも言えてないんやろ。後ろめたいんやろ?そんな状態で何で挨拶に来るんや」

だんだん、父の言葉にも熱が入ってきて、ハラハラが止まらない。
背筋を正して正座する先生と、胡坐を掻き腕を組む父。その隣で、母はただ黙っている。


「……それは、みなみさんのご家族に挨拶をするほうが大事だと思ったからです。僕は、みなみさんが大事です」


先生は、父をまっすぐ見つめて言い切った後、正座を解いて、床すれすれの所まで、深く、深く頭を下げた。



「お願いします。真剣につきあっていきます。どうか、お許し下さい…」




ほぼ土下座のような先生の姿勢に、父は「…そこまでせんでもええやろ」とつぶやいた。




にほんブログ村 恋愛ブログ 教師と生徒の恋愛へ

  恋愛ブログ 教師と生徒の恋愛
  恋愛ブログ 秘密の恋愛