572.言葉はなくても

なかなか来ない鮎ちゃん…
クラスメイトたちと別れを惜しんでるのかもなぁ。


「時間やから、もう行くわ」

うちの母と鮎ちゃんの母が喋ってる中、うちの父が仕事に戻って行った。
この場に先生がいることは知らないまま、愛想なく去っていく父。



「遅いねぇ。ごめんね、みなみちゃん待たせてあの子は…」

鮎ちゃんのお母さんに謝られて、全然っと首を振った。


今日はほんまに、びっくりするぐらいいい天気。

ここから見上げたら、職員室の窓が見える。

あの窓から、身を乗り出す先生に、大声で呼ばれて震えながら戻ったこともあったな。

先生がまた、あの窓から出てきたらすごいな。




って考えてたら、「あ、葉山先生やん」と母が言った。


「えっ、どこに?」

「ほらー。あそこ」

もちろん、職員室から先生が覗いたりはしていない。
見上げてた顔を戻して、門までの道を見てみたら、来賓の方々がぞろぞろと何人かで出てきてる中に、頭ひとつ大きい男性がいた。

先生ー!

うわー会えた!っていうか、見れた!
全然特別感ないけど!


先生は全然気付かないまま団体さんでこっちに歩いてくる。

めっちゃ笑ってる。愛想笑いがすごい…。
そして、先生に気付いた生徒たちと、ちょっと絡んだり、たまに写真撮ったりしてる。

だんだん近づいて、門をくぐる時に、先生が私を見て、あ、という顔をした。


母がずけずけと声かけてしまうかと思ったけど、母は全く気付かないふりをしてたから、私も黙っていた。


先生も、声は掛けてこなかった。
ほんのちょっとだけ、表情が変わっただけで、何もない。


『卒業したからって、すぐに自由にするのはまだ早い』からこその態度なんやろな…。

最後なんやし、もうちょっと愛想振りまいてくれてもいいやろって思うけど、それが先生らしい。

それが、私の好きな人。


「七菜子、遅いなぁ~」

鮎ちゃんのお母さんが、時計を見ながら溜息をつく横で、私は帰っていく先生の後ろ姿を見ていた。



コメントありがとうございます!
今日は二発書けました(^O^)
しばらく風邪に打ちのめされてました…
ようやく本調子に戻りましたが…恐ろしかったです。
みなさま本当にご自愛ください!




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