569.コンソメスープ

次の朝、鮎ちゃんをコンビニまで送って、家に戻ってきた。
卒業式の後は一緒に帰ろう(遊ぼう)と約束して。

父は食卓で新聞見ながらコーヒーを啜り、母は気ぜわしくパタパタと家事している。

「みっちゃんも早起きしたんなら食べてしまいや~。学校なくなったらすぐぐーたらするんやから~」

テーブルに朝食が置いてあった。

父とふたり、きまず…

静かに席について、パンをちぎって食べると、父が新聞をばさっと置いた。

うっ、先生のこと言われる??
春休みは忙しいからあかんねんな。


「…ほな行ってくるわ」

目を合わさずに立ち上がる父。
あれ…何も言わずに行ってしまった。

母は「はいは~い」と玄関まで見送りに出て、父についでのゴミ出しを頼んでる。

「いってらっしゃ~い」

出ていくタイミングを失い、母が見送る声を食卓で聞いた。


……なんで、何も言えへんの??

ぬるくなったスープを温めに立ちあがったら、母が戻ってきた。

「今日も寒いみたいやで~」

「あ、そうなん…」

電子レンジにカップをいれて、スイッチを押す。
母も、何も言わない…。


「なあ、お母さん。お父さん春休みあかんの?」

「春休み?」

「先生の挨拶の話…」


あーあー、と笑う母。

「アカンことないよ。お父さんもずっと休みないわけじゃないねんし。あれはすねてるだけ。ただ、『大事なことはお母さん介さんと自分の口で言え』とは言ってたよ。アンタのこと」

「自分で言っても、お父さん話聞いてくれへんやん」

あははと母が笑った。

「まなちゃんもそう言って、お父さんに言わず強行突破で出て行ったからなぁ。お父さん、しばらく落ち込んでたで」

「はは……」


あたため終わったブザー音が聞こえて、スープを出した。

ラップを取ったらスープの湯気がたちのぼる。
我が家で毎朝出てくる野菜入ったスープ。あったかい家の味。

お父さん、怒ってるんじゃなくて、すねてるのか。

…スープおいしいな。
普通のコンソメ味やけど。

家を出るのが少しだけ寂しくなった。



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