564.終わりの時間

名前を呼びながら、帰る時間まで体を重ねた。
ときどき休憩しては、なんてことない話をして、笑って。

腕枕の腕は硬過ぎて寝心地悪いけど、毎日こんな近くに先生がいたら、どれだけ幸せなんかなぁ。

「タカノリ…」

「はい。何」

「ちょっとー。返事冷たない?」

「どこが冷たいねん、こんな優しい彼氏おらんで。同世代と比べてみろ」


険しく目ー瞑ったまま自分をアゲてくる先生。
18歳男子と同じステージに立とうとしてることに笑った。
先生の魅力は、年齢じゃないと思う。

「で、何?」

「呼んだだけ」

「そんなことやと思ったわ」


先生って呼ぶより、ずっと近くに先生がいて、ぐっと距離が近づいたように感じた。


それでも、終わりの時間がやってくる。



「帰ろか。もう時間やな……」



先生がさっきから時計を見てたのはわかってたけど、気付かないふりをしていたのに…

私より先に着替えはじめて、ベッドにひとり、ぽつんと取り残される。


「ほら、早く」

先生に手のひらを差し出されて、渋々つかむ。

「先生は全然平気かもしれんけど、帰るのが寂しい…」

「俺いつ平気って言ったっけ」

「……言われたような気がする。言いそうやし」

「憶測だけで言わんといて下さい」

「……だって……わっ!」

バサッと服を首に被せられて、先生に着せられる。
トップスの首から顔が出たら、ははっと笑われた。
くやしいけど、笑顔は好き。


「近いうち、挨拶行くから、忘れんとお父さんとお母さんに言うて」

「……ハイ」

「マジで忘れんなよ」

「ハイ」

先生は、よし、と小さく頷いた。


コートを着て、先生のおうちにさようなら。
車に乗り込んで、エンジンをかける。
あったまるまで少しの待ち時間、先生がハンドルにもたれながら言った。


「俺…挨拶でお父さん怒らせてまうかなぁ………」

「ん~……どうかな。うちのお父さん、カッときやすい人ではあるけど」

「そうか。……俺、気ー合うかな」

ああ。まあ、同じグループ内には属してる。


「挨拶の日、ちょっと火花散っても騒ぐなよ。割って入るなよ」

「えっ、こわい!」

「今でもお父さんに殴られるようなことしてるかもしれんし、……俺もその場で言うかもしれんから」

な、何言うの?

「めっちゃこわいやん!」

「俺も怖いけど、ちゃんと許してもらわな何も進めへんし…」


考えこんでる先生をじーっと見ていたら、じろりと見返された。


「住むんやろ、一緒に。みなみ送らんでいいなら、俺も寂しくないし」


先生はそう言ったあと、私から目を逸らして車を発進させた。

寂しい って言ってくれた。


それから、全然こっちを見てくれなかったけど、ちょうどよかった。
嬉し泣きしてるところを見られなくて済んだから。



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