563.名前

貴範。

先生の名前。

私が、先生に望むことがあるように、先生も、同じようにあるのかな。
「先生」って呼ばれるのは、もう嫌だったのかもしれない。


私が、先生を名前で呼ばなかったのは、恥ずかしいのと、まなちゃんをはじめとする元カノたちがよぎってしまうのがいやだったからだけど、先生が望むなら…。


先生の首に腕をまわして、耳元でぽそっと名前を囁くと、先生の口角が上がった。
「上出来やな」って、偉そうな感じで褒められて、再びキスが始まり、体も心も深く交わる。

先生と私の隔たりが、溶けてなくなってしまえばいいのにな。
どっちがどっちかわからないぐらい、ひとつになれたらいい。



卒業したから全部解禁ってわけにはいかない事情と、先生の性格は、私に変えられるものではないけど。

名前の呼び方が変わると、二人の関係もこれから変わる気がする。

少しずつ形を変えながら、ずっと一緒にいられたらいいなぁ。



「先生が、私がいないと生きていけなくなればいいのにな」

つい、呪いに近い願いを本人に言ってしまう。
先生もえっ?て眉間にシワ寄せてる。

「何それ、なんか怖いな」

「そうならんかなぁ~」

「なってんちゃうかな…たぶん…」


終えた後のまどろみタイムでの会話。
私の戯言にもつきあってくれる。


「……タカノリっていい名前やなぁ」

「ありふれた名前やろ」

「うん、でも」


戯言への答えは甘くはないけど、その代わり、大きな手は私の髪を撫でている。


名前も、手も、声も、抱きしめてくれるこの腕も。
私を見下ろす眼差しも、全部、全部好き。

私、先生に出会えてよかったよ。

先生もそう思ってくれたらいいな。



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