561.乙女心粉砕
「やっぱり、きっちり言っとくわ。俺は、今の状態ですぐに同棲は始められへん。みっちゃんが高校卒業したところで、俺からすると何も変わらん。卒業したからって、すぐに自由にするのはまだ早いと思ってる」
ああ…やっぱりな。やっぱり、言うと思った。
でも先生も、言葉を選びながら話している。
頭を掻いたり、組み直した手に目線を落としたり、私の顔はあんまり見ないけど。
「4月までには挨拶に行くよ。でも、みっちゃんのこれからについては、まずは俺のこと抜きで考えて。ここに住む選択肢は省いて……」
難しい顔している先生に割り込む。
「お母さんが『先生と一緒に住むならお父さんに話してから行って』って言うてた」
「え?あ、そうなん?」
先生の眉間のしわが少し取れたけど、すぐに「いや、でもなぁ…」と険しくなった。
しーん。
何やら考え込んでしまった先生の前で、ひっそり、溜息をつく。
私の未来のこと、先生のこと、ちょっとした体裁。
先生が言うことも大事だとは思う。
けど、頭で考えてたら、気持ちが萎むし、また否定されたようで悲しい。
せっかく今、一緒にいるのにな。
さっきから先生、あんまり私のこと見てない。
がっちり組まれた先生の手の上に、てのひらを乗せてみた。
「ん?」と先生が顔を上げる。
「………向こう行こう。先生」
向こうの寝室で、することはひとつ。
先生は納得してないのか、表情は緩まない。
「まだ話が……」
「先生の話はわかったよ。でもここでしゃべってたら、全然私のこと見てくれへん」
「………」
「いっぱい好きって言われて、幸せな気分で帰りたい」
私と先生は、彼氏と彼女なんやんな?
それを実感したい。
先生が、乗せた私の手を握り、立ち上がる。
「ごめん。そうやな。せっかく今会えてるのにな」
堅物なところも、もう知ってる。
乙女心をブッ壊すほどの生真面目さにはまだ慣れないけど。
寝室までの廊下で、優しくキスをくれる。
このまま不安も溶かしてほしい。
私を幸せな気分にしてくれるのは、先生だけ。

ああ…やっぱりな。やっぱり、言うと思った。
でも先生も、言葉を選びながら話している。
頭を掻いたり、組み直した手に目線を落としたり、私の顔はあんまり見ないけど。
「4月までには挨拶に行くよ。でも、みっちゃんのこれからについては、まずは俺のこと抜きで考えて。ここに住む選択肢は省いて……」
難しい顔している先生に割り込む。
「お母さんが『先生と一緒に住むならお父さんに話してから行って』って言うてた」
「え?あ、そうなん?」
先生の眉間のしわが少し取れたけど、すぐに「いや、でもなぁ…」と険しくなった。
しーん。
何やら考え込んでしまった先生の前で、ひっそり、溜息をつく。
私の未来のこと、先生のこと、ちょっとした体裁。
先生が言うことも大事だとは思う。
けど、頭で考えてたら、気持ちが萎むし、また否定されたようで悲しい。
せっかく今、一緒にいるのにな。
さっきから先生、あんまり私のこと見てない。
がっちり組まれた先生の手の上に、てのひらを乗せてみた。
「ん?」と先生が顔を上げる。
「………向こう行こう。先生」
向こうの寝室で、することはひとつ。
先生は納得してないのか、表情は緩まない。
「まだ話が……」
「先生の話はわかったよ。でもここでしゃべってたら、全然私のこと見てくれへん」
「………」
「いっぱい好きって言われて、幸せな気分で帰りたい」
私と先生は、彼氏と彼女なんやんな?
それを実感したい。
先生が、乗せた私の手を握り、立ち上がる。
「ごめん。そうやな。せっかく今会えてるのにな」
堅物なところも、もう知ってる。
乙女心をブッ壊すほどの生真面目さにはまだ慣れないけど。
寝室までの廊下で、優しくキスをくれる。
このまま不安も溶かしてほしい。
私を幸せな気分にしてくれるのは、先生だけ。

