560.その前振りがこわい

鮎ちゃんや皐月ちゃんみたいな、大事な友達とは、きっとこれからも続いていくって思えるし、離れることは寂しいけど、きっと大丈夫。

でも、卒業式はきっと泣いてしまう。
先生の姿をあの場所で見たら、きっと無条件に涙が出る。

てか、もうすでに今からうるうる来てる。
どうせ、見つけられずに終わるんやろうけど…それでも。


リビングに移動して、飲み物で一息。
私の分として置いていてくれてるジュースを見て、胸の奥がくすぐったくなる。

「まあ、式当日は、写真の一枚でも撮れたらええな。鈴木さん(担任)の最後の話はしっかり聞けよ」

鈴木さんって言われたらスーさんじゃないみたい。
ナカムーが葉山さんって呼んだりするのも、何かしらんけど笑けるのと一緒。

「矢野ちゃんとかナカムーとかも撮りたいなぁ~。矢野ちゃんには本気でお世話になったし…」

最後の日への想像を膨らませていると、先生はコーヒーを飲みながら、頬杖をついて笑っていた。
そんな、にっこり笑われたら照れる。


「矢野ちゃんに合格伝えに行ったら、めっちゃハグしてくれて泣きそうになってん」

「はは。思い浮かぶな。その時矢野先生も泣いてたんちゃう」

「えー?そうかなぁ?」

「嬉しいもんやで。こっちとしては」と、先生は優しく笑った。

こっちとしては…
教師としては…嬉しいのか。

先生は椅子に座り直すようにしながら、カタ、とソーサーに白いカップを置く。
私も、飲んでいたジュースのグラスをテーブルに置いた。

しばし目が合うもののお互い何も言い出さず、変な間が空き、二人ふきだして沈黙終了。

「何やねんこの間」

「先生何か言うんかとおもって」

「俺も待ってたわ」

先生は、は~と伸びをしながら椅子に横向きに座って、うつむく。

つむじが見える。
寝ぐせがついてる。
隙が見えて、かわいいな。

とか考えてると、先生が顔をあげた。

「なあ」

「ん?」

「怒らずに聞いてくれる?」

え…。
その前振りめっちゃこわい。

「…………何したん?浮気?」
と聞き返すと、鬼の怒号が飛んでくる。

「アホか!してへんわ!一緒に住む話とか、今後のこと。俺の考え、聞いてほしいねんけど。」

そう言って、先生は、私のほうへ体を向け、机の上で両手を組んだ。



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