554.マナー重視
帰り道、高速道路をスイスイ進んでいく。
オレンジの灯が先生の顔に反射するのを見ていた。
すると、私の携帯が鳴った。
お母さんからメール。
「お母さんから…」とつぶやいたら、ちらっと先生がこっちを見て、顎を触っていた。
「俺メールしたからかな」
「メールしたん?」
開封してみたら、母から『先生に、事故らんように言うてね』と入っていた。
出発前、『今から送ります』と一報入れたらしい先生。
その返信らしい。
「…お母さんが、『事故らんといてね』って」
先生は、小さく「了解」とつぶやく。
車は猛スピードで進んで、どんどん星空も消えてゆく。
うちの親を心配させないように、連絡する先生。
それは、彼女として喜ばないといけないことかもしれないけど、ちょっと息苦しく感じるのは否めず…。
もっと普通に、対等に先生とつきあえるのは、いつになるんやろう。
まなちゃんたちみたいに、普通にできるのは、いつ?
4月からそうなれるとは思えない。
受験が佳境に入ってから、先生は「一緒に住もう」とかあんまり言わなかったし、合格したというのに具体的にこれからどうしていくかの話はない。
この前の「顔見てプロポーズしたい」の話なんて完全に立ち消えてるし、名前で呼んでくれる気配もない。
こうなったら、自分から聞くしかない?
「先生。運転中ごめんやけど」
「なに?」
「4月から……あの」
「え、何?」
「えっと……」
あれ。言いづらいな。なんやろ。
「なんやこいつ、マナー悪いな」
先生は、私に耳を貸しながらも運転中で、隣の人のお行儀の悪さにちょっと戦闘モードにー。
こういうところは、とても先生らしい一面…。
「…で、何て?みっちゃんなんか言うてた?」
「なんでもない…」
えーーーん。
こんなカリカリしながらする話じゃないしなー。
その日はとにかく早く家に到着することだけを目標に、余韻もなく家に送り届けられておしまい。
「えらい早かったねえ~」と母に言われて、苦笑いした。

オレンジの灯が先生の顔に反射するのを見ていた。
すると、私の携帯が鳴った。
お母さんからメール。
「お母さんから…」とつぶやいたら、ちらっと先生がこっちを見て、顎を触っていた。
「俺メールしたからかな」
「メールしたん?」
開封してみたら、母から『先生に、事故らんように言うてね』と入っていた。
出発前、『今から送ります』と一報入れたらしい先生。
その返信らしい。
「…お母さんが、『事故らんといてね』って」
先生は、小さく「了解」とつぶやく。
車は猛スピードで進んで、どんどん星空も消えてゆく。
うちの親を心配させないように、連絡する先生。
それは、彼女として喜ばないといけないことかもしれないけど、ちょっと息苦しく感じるのは否めず…。
もっと普通に、対等に先生とつきあえるのは、いつになるんやろう。
まなちゃんたちみたいに、普通にできるのは、いつ?
4月からそうなれるとは思えない。
受験が佳境に入ってから、先生は「一緒に住もう」とかあんまり言わなかったし、合格したというのに具体的にこれからどうしていくかの話はない。
この前の「顔見てプロポーズしたい」の話なんて完全に立ち消えてるし、名前で呼んでくれる気配もない。
こうなったら、自分から聞くしかない?
「先生。運転中ごめんやけど」
「なに?」
「4月から……あの」
「え、何?」
「えっと……」
あれ。言いづらいな。なんやろ。
「なんやこいつ、マナー悪いな」
先生は、私に耳を貸しながらも運転中で、隣の人のお行儀の悪さにちょっと戦闘モードにー。
こういうところは、とても先生らしい一面…。
「…で、何て?みっちゃんなんか言うてた?」
「なんでもない…」
えーーーん。
こんなカリカリしながらする話じゃないしなー。
その日はとにかく早く家に到着することだけを目標に、余韻もなく家に送り届けられておしまい。
「えらい早かったねえ~」と母に言われて、苦笑いした。

