540.「はい。そうですか」

玄関先まで出てきた母に、先生が挨拶をした。
よそいきの先生はなんかかっこよく見えるなぁ。


「先生、いつもありがとうね~!ごはん食べて行く~?」

「あ、いえ、今日はこれで失礼します」

「あーそう~?遠慮しぃやねんから~」

遠慮しぃと呼ばれてる先生に、笑いを堪える。
いつも、母と話す時は先生も若輩者になるのが笑ける。

秘密に耐えられなくて母に打ち明けたのが一年前。
母と先生の仲は、ずいぶん打ち解けたような気がする。(特に母が)


「また、受験が終わったらよろしくお願いします」と、先生が頭を下げた時、玄関のドアが開いた。





「………」

「………」

「………」

「………」



そこには、仕事から帰ってきた父。


沈黙の中、私、母、先生の視線が父に集まる。









沈黙を破ったのは母。


「いやっ、お父さん、早いやん!どないしたん」


「………」


玄関にいる大柄男性(先生)を見上げて立ちつくす父に、焦る母。
父は小さく咳払いをした後、俯いて靴を脱ぎ始めた。


「どないしたんて……仕事終わったから帰ってきただけや。あかんのか」

ごもっともな父に、先生が頭を下げた。


「初めまして、葉山と申します。みなみさんとおつきあいさせてもらっています」

「………はい。そうですか」


父は、うっすいリアクションで靴を脱ぎ、家に入って行った。
空気が凍りついた気がしたのは私だけではなかったはず。


母が軽く溜息をついて、固まってる先生に話しかける。

「あ~。ごめんなぁ、先生。うちのお父さん、愛想なくて…」

「いえ、僕のほうこそ突然失礼しました」

先生は、動揺もせずに母に返事をしていたけど、私は心臓がバクバクして、言葉が出なかった。




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