539.手探りの未来

秋が深まるとともに、受験色はさらに濃くなった。
出願前になると、先生との電話の回数も増えていった。

内容は、ほとんどが勉強のこと。併願校の相談もした。
でも、先生は決まってこう言う。


「俺のことじゃなくて、みっちゃんの行きたいとこ考えて」


私は先生とつきあってるのに、先生のことを考えずに未来を決めるというのが、納得が行かず、衝突もした。
先生抜きの、この先を想像するのがとても難しかった。

でも、その言葉の裏にも、先生の考えや気持ちがあるのに、それをわからずに、先生の口から発された言葉だけで判断して、自分から険悪な雰囲気にしていたとも思う。


「先生が『相談して』って言ったから相談してるのに、なんで突き離すん…」

と、電話中むせび泣いてしまうこともあり、大概ウザかったと思うけど、電話を切られるようなことはなく、根気よく付き合ってくれた。




結局、自分のレベル、学びたいこと、いろいろ考慮した結果、併願先はすべて、先生の住む町からは遠い大学になった。


滑り止めの大学でも、やりたい仕事にはつけるかもしれないけど、本命に受からないと、先生とはいられない。
今思えば、離れていてもいくらでも会える手段はあるのに、人生経験の少ない当時の私は視野も狭く、そんな風に思っていた。



とにかく、ヒマがあれば勉強。
学校で勉強して、家でも勉強して。
課外を受けた後は、矢野ちゃんに会いに行って英語を見てもらい、土日は先生に勉強を見てもらう生活。



2学期の終業式が終わって、冬休みに入った日曜日。
スパルタ家庭教師と化していた先生は、いかつい顔で空き地前まで送り届けてくれた。

「ありがとうございました~」
と私が車を降りると、先生が自分の顎を触りながら、「年末の挨拶しよかな」と言った。


もう年末か。
そう言われたらそうやな。


いつものように、家にいるのは母だけだろうと思って、「じゃあ一緒に行こー」と返事して、先生と二人で家まで歩いた。




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