535.理由はただひとつ

おいしいお肉を堪能し終わり、車に乗った。

当時、焼肉、鍋などは、先生の采配で進められていた。
料理ができなかったから当然のことかもしれません。

今日はカジュアルな服装で来たから、別ににおいがついててもよかったけど、髪も服も結構な焼肉臭が漂う。


「髪においするかなぁ」

「焼肉食うたらみんなするわ」

「今日同窓会でカラオケずっとおったら、カラオケ臭してたやろな。先生たちの同窓会って居酒屋なん?」

そう聞くと、先生はじーっと私を見て、申し訳なさそうに話し出す。


「まあ、そうやけど。成人してるから酒はつきものやしな」

「いっぱい飲むの?絡まれたりせーへんの?」

「30にもなると、そんな飲み方する奴ももうおらんようになったけど…みっちゃんはこれからやな」


これから………あるか?
今日みたいに先生が迎えに来たら、いっつもはよ帰らなあかんのちゃう?

今日は、先生に会えてうれしいけど。
こうして先生が会いに来てくれるのは嫌じゃないけど、先生の言ってることとやってることが違う困惑はある。

どうせなら、「俺以外の男なんか見んでもいい!」と言い切ってくれればいいのに。
そしたら、反発か従うか、どちらか選べるのに。

長いリードつけて中途半端に解放されたら、よくわからん。



「先生が毎回迎えに来たら、私はフツーの飲み会も知らんままやと思う…」
と、つい言ってしまったけど、先生は、何にも言わなくて、窓の外を見ていた。

沈黙が長すぎて耐えられず、「先生…」と呼びかける。
すると、先生は伸びをして答えた。


「…もう、送ろか。ベルトつけや」

え、もう?


「いや、せっかく会えたしもうちょっとぐらいは…。今日、いちゃいちゃもしてへんし」

慌てて先生を止めると、先生は、え?と疑惑のまなざし。


「お前、この前俺の勢いが激し過ぎただの、引いただの言うてたんちゃうんか」

「いや、言うてたけど今日はぎゅってしたいし」

「この前があかんで今日はいいって何で?」


真面目に尋ねられて、弁解の言葉を探す。
…が、答えはない。

先生にとってみたら、私もたいがい意味不明やんな。
私もいろいろ考えた上での感情なんやけど。

言ってることとやってることが違うのは、私も同じ。


「今日はぎゅってしたいから。何でって言われても、先生のこと好きやから」

全然答えになってないけど、一緒にいたい気持ちは私にもある。

「………おう」

先生は、ぶっきらぼうに答えた後、私の髪をぐしゃぐしゃしながら、ぎゅーっとしてくれた。




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