533.時間の重み

先生が今も待っていると思ったら、メールする時間も惜しい。
ぱたぱたと部屋の中に戻って、鮎ちゃん席まで行く。

大樹と談笑中で、私はいなくても大丈夫そう…?

「鮎ちゃん…ちょっと、帰ろうと思うねんけど」

「へ?来たばっかりやん!まだみんな完全に集まってもないのに」

「うん、そうやねんけど………(先生が)来てるから」

もじもじと事実をお伝えすると、鮎ちゃんは想像どおりの苦い顔をして、後ろから大樹が「もう帰んの?」と言った。


「うん。帰る。大樹、鮎ちゃんと仲良くしてな」

この前、鮎ちゃんが先生に言ったようにはキマらないものの、鮎ちゃんは大事な親友で。
今は恋人から友達に戻ってるとしても、鮎ちゃんを悲しませるようなことはせんといてって思う。
そしてそれはナカムーにも言いたい。ってかナカムーに一番言いたい。

「また、みんなで遊ぼうな」と大樹が言い、「うん!」と頷いて鮎ちゃんと立ち上がった。
リクは、沙希ちゃんや果帆ちゃんたちの席に呼び止められてしゃべってる。

「みんな盛り上がってるし、そっと帰るわ」と言うと、鮎ちゃんは私を入り口まで送ってくれた。



「葉山、どこで待ってんの?」

「うーん、近くとしか聞いてないけど…メールしてみる」

「心配しすぎやでな…彼氏通り越してお父さんなってもうてるやん」

鮎ちゃんは私をかわいそうな感じで見ている。
確かに、娘に厳しいお父さんと化してる。

「大樹フツーやったから安心したわ。鮎ちゃん、気まずないんかなと思ってたから」
と言うと、鮎ちゃんはへへへと笑う。

「私の心配してくれたん。ありがと、みなみ」

その鮎ちゃんの顔で、やっぱりついてきたのは正解だったみたいと思えた。





昔何年もつきあってて、別れて、それでも普通に話せるのってすごいな。

私は、リクと友達期間は長かったけど、つきあってたのはわずかな期間だった。



さっきはリクに心の中で毒づいたけど。
「毎回ひとつ前の恋愛引きずってるだけ」、ではないよな。

リクと皐月ちゃんは、いろんな初めてを経験した仲やもん。
あんなにきっちりした親御さんたちのお許しを得ようとしてまで、リクもがんばってた。

なのにリクは、ふらふら私の尻追いかけたりして、アホやな。

私と過ごした時間と、皐月ちゃんと過ごした時間。
重みはきっと全然違う。




先生からメールが来た。

『前の歩道出といて』


指示のあったとおり、歩道まで歩いて、車が来る方向を見てみた。
見慣れた先生の車がやってくるのが見えた時、なんか、今日は思いっきりぎゅってしてほしいなぁと思った。



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