518.先生の仮面の下

「その話し合いに何の意味がある?」


先生は、胡坐を掻き、冷たい目で私を見た。


「もう一回振ってすっきりしたいんか?で、私のことは諦めて、岡部とヨリ戻してって言うんか?大概無神経な奴やな」

「無神経って……。違うよ、先生とのこと話しに行こうと……」

「俺のため?俺は会ってほしくないと思ってんのに?」


今まで先生が怒ったり、叱ったりする時もあったけど、この時はとにかく冷たかった。
つきあう前、私を突き離そうとしていた時に似た、拒絶するような態度。


「行くなって言っても全然聞けへんやんけ。自分の女狙ってる男と会わせたいわけないやろ。何でそんなことがわからんねん、お前」



…先生は、いつも、「みっちゃん、しゃーないなぁ」って許してくれて。
みっちゃんには、普通に人生経験積んでほしいって話してたから。
私の話を、うんうんって、聞いてくれてたから。

甘えすぎていた。

先生も、嫌なんや。



「あー、クソ…」


先生は髪を掻き毟り、私に背中を向けた。



私は、先生との関係を皐月ちゃんに話せたのが嬉しかった。

今はああいう風に思っているリクでも、ちゃんと話せば理解を示してくれるんじゃないかって思ったところもあった。

誤魔化さずに、先生のことをちゃんと話したら、先生のことこんなに好きって話したら、もう変なふうにはみないんじゃないかって。



リクとの間で、一番すっきりしたかったのはその部分。
皐月ちゃんとヨリを戻してとか、そういうのは二人の問題だと思ってた。
とにかく先生を悪く思わないで欲しかった。

でも…確かに……無神経やんな。
リクの気持ちは考えてなくて、ただこっちが悪く思われたくないだけの……。

私は結局、先生の気持ちも、皐月ちゃんの気持ちも考えてない。
自分がされたら嫌なことを人にしてる。


「…ごめん、先生」

背中を向ける先生に頭を下げる。
先生は振り向かない。


「他の男に会おうとすんなよ。それを俺に言うなよ」

「ごめ………」

「言わせんといてくれよ、こんなカッコ悪いこと。いい加減気づいてくれよ」


リクの話をした時、先生はいつも態度に出していたのに。
いつも、あったかくアドバイスくれるのに、この前告白されたことを話した時は、「ふぅん」と興味なさそうにしていたのに。
あれは、興味がないんじゃなくて、嫌やったんや。


「先生…ごめんなさい…」

先生は、ローテーブルに置いていたテレビのリモコンを掴むように取り、チャンネルを変えた。その動作から苛立ちが伝わってきて、何も言えなくなる。

「ごめんなさい」って言葉が、軽く思えてくる。


先生は、こっちを向いてくれなくなってしまった。




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