512.あの人が彼氏です

私は、私の都合しか考えていなかった。
皐月ちゃんを信じ切れていなかった。

それまで、皐月ちゃんに言えなかった理由は、結局はそういうことだと思う。


「私、自分のことしか考えてなくて…ごめん…みなみちゃん」

皐月ちゃんはまた謝るけど「ううん」と首を振った。

自分のことしか考えていないのは、私も同じ。
皐月ちゃんも、私も、同じ。


もう一杯アイスティーをいただきながら、話題は先生の話に移った。

「てゆうか…葉山先生とつきあうって、どんな感じ…?」

皐月ちゃんが、遠慮がちに尋ねてきて、「想像つかんよなぁ」と鮎ちゃんが笑う。

「どんなって………」と照れ笑い。

「先生、『好き』とか言うの…?」

瞳をキラキラさせながら、プリンセスが聞いてきた瞬間。
私が答えるより先に鮎ちゃんが「ギャー!待って待って、ムリムリ!」と悲鳴を上げ、一同爆笑した。

「あの顔で好きとか!?」と鮎ちゃん。

「どういう意味よ」と私。

「えーっ…!絶対葉山先生かっこいいと思う…」と皐月ちゃん。

鮎ちゃんは呆れて、「あんたらほんま好み似てるな~」と苦笑いしていた。



その後は、皐月ちゃんのお母さんが帰ってきて、私と鮎ちゃんは帰ることにした。

薄暗い夕焼け。駅までふたりで歩く。
車が通るので縦に並んだ。


「…びっくりするやん、突然カミングアウト始まったから」

と、前を歩く鮎ちゃんが言った。

「うん…立ち会わせてごめんな。なんか、皐月ちゃんには今日言わなあかん気がして。やっぱり私、皐月ちゃん好きやから…」

「まあな。私適当に合わせて話してもうたけど、あれで大丈夫やった?」

そんなことを気にしてくれる鮎ちゃん。
援護射撃嬉しかったよ。

「大丈夫も何も、ありがとう、鮎ちゃん」

「なになにー!照れるやん!でも、葉山的には言うてよかったん?怒られへんの?」

…それ。
なんか怒られる気がする。

前、皐月ちゃんに言っていいか聞いた時は嫌がってたしな。
教員を辞めているとは言え、聞いた人が、先生に対して心象が悪くなるのは明らか。

それをわかっていたけど、でも言わずにはおれんかったし。


「でもな鮎ちゃん、私、皐月ちゃんは誰にも言わんと思うねん…」

「そやな。ごめんな…私はリクに漏らしてもうたというのに…」

「うん…それはもういいで~」


鮎ちゃんには、どれだけ力づけてもらってるか。
いつもフォローありがとう。

申し訳なさそうな鮎ちゃんを見て笑った。



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