25.1時間目

リクの話を楽しげに聞く葉山先生。
なんなら、今までで一番笑顔出てる。

校舎についたら、徐々に笑顔が減っていって、いつもの生活指導の顔に戻る。

「じゃあな。髪まとめろよ」

「ハイ。ショート派かロング派か、どっちなんか教えてほしかったな」

しつこい私に、先生はまたしかめっ面をする。


「俺は昔っからロング派や」


先生は吐き捨てるように言い、階段を上がっていった。

おおお…!

こ、答えてくれた!

ロングかー!

実際はどうなのか知らないが、私には、先生のそのぶっきらぼうに言い回す姿は照れているようにも見えた。



教室入る前に、廊下の鏡を見ながらポニーテールにした。
伸ばそっかな。

リクとかみ合わなかった違和感が薄れて、いつのまにか明るい気分になっていた。



そして1時間目、数学の授業開始前。
自分の手首を鼻に近づけて、匂いを嗅いでいた。

ほんのちょっと腕につけた香水が体温でなじみ、一層ほのかないい香りになっている。

私は大好きやけどなぁ…
リクはダメだったのが誠に遺憾。



その時、皐月ちゃんの消しゴムが足元に転がってきた。

「あ、ごめん」

「はい」

拾って渡したら、皐月ちゃんが
「今ふわっといい匂いした」と言った。

「これかな?」

手首を皐月ちゃんに差し出したら、皐月ちゃんは耳に髪をかけながら顔を近づけた。

はぁ、かわいい。そのしぐさ。

「これ!なんの香水?いい匂い」

「そうやんな!いい匂いやんなぁ!鮎ちゃんがくれてん」

いい匂いに1票入ってホッとした。リクめ。



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