596.はじめての千鳥足

「カンパーイ!」

威勢良くジョッキで乾杯するものの、どこまで飲んでいいのやら、どう振る舞うのが正解なのかもわからずに、飲み物に口をつけて、料理を取り分ける。

なんか、息がしづらい。
先生や、鮎ちゃんたちといる時は違うのに。


「全然飲んでないじゃん!みなみちゃんの誕生日だよ?ノリ悪くない?」

奈々ちゃんにせっつかれるようにして、飲みを促される。
この“ノリ悪い”は今までまあまあ言われてきてるけど、なんだか悲しい言葉だ。
てか、自分のペースで飲み食いしたい。

私は飲みたくないのに、何で飲まなあかんのかな。
って実際この場でそれを口にしたら、空気凍るやんな…。
と、空気読めないなりに読んでみたりして。


すると、隣にいたメガネの子(男子)が、奈々ちゃんに向かって言ってくれた。

「そういうのあんま強要すんなよ」

「谷口のノリ悪いー!あ、ノリ悪い同士くっつけばいいんじゃん!」

奈々ちゃんの返しに、明らかにその谷口君もメガネが怒りで光った気がしたけど、そのメガネの子はそれ以上何も言い返すこともなかった。

その後、ノリ悪いと言われるのを気にして、少しは飲んだ。
小心者だ。



お店を出る頃になると、雨は止んでいたけど、肝心の私の足元がふらふらしていた。
終電近いから、みんなは帰って行く。
私も帰らなきゃいけないけど、思うように歩けない。

私はあんまり強い方ではなかったみたいで、さっきまで散々悪態ついてきてた奈々ちゃんが、家で休んで行けと言う。

「うちおいでよ、近いから。谷口も来るでしょ?」

「何で俺が…」

ああ、谷口君困ってる。
私の千鳥足のせいで。

「いや~、あの~、私、お迎え来てもらうからいいよ~、谷口くんも、奈々ちゃんも…。もう、ここで解散でいいよ~」

とりあえず先生に連絡しようと、もたもたと携帯を出したけど。
こんなに酔ってふわふわしてる感じで連絡したら、先生にこっぴどく怒られそうな気がしてきた。
そもそも私、未成年やのに。





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